「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」其の拾弍

シリーズでお届けする「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」。第12回目は、靴磨きをする上での「第11工程目」について。長谷川裕也が熱く語ります。

今回は第11工程「ネル生地を指に巻く」についてお話しします。指で鏡面磨きのベースの膜を作ったら布を指に巻いて水をつけて光らせていきます。磨く際の布はBrift Hではネル生地が一番綺麗に光るので私たちはネル生地を使っています。

まだまだ靴磨きの技術も確立されていなかった昔は何の布が一番光沢が出るんだろうと生地屋さんに行ってはいろんな種類の布を買っては試してを繰り返しましたが、結論としては綿100%であれば大体の布でも光らすことは可能でした。なぜだか化学繊維が入っていると上手く光らないのは不思議でしたね。

その中でも最後の最後にギラっと精度の高い鏡面に仕上がるのはネル生地でした。

さて、そのネル生地を指に巻き付けて磨いていくわけですが、この指に巻きつけるのがとっても重要なポイントです。完全に指と一体となるようにしっかりと巻き付けます。

その際にシワが入ったりするとそれが傷のような線が鏡面に入ってしまい綺麗に仕上がらないのです。なので、“皮膚がネル生地になったよう”にピンッと張った状態に指に巻き付けます。では早速布の巻き方に関して写真と合わせて伝授します。

まずは布の端を親指の腹の部分で深く握り、人差し指と中指の上にピンと張った状態になるよう反対の手でグッと摘んでおきます。

そのまま摘んだ手は固定して布を巻く方の指をぐるっと一周させてください。 そうすると指の爪側で布が絞られていきます。

そのまま布をぐるぐるっと絞り込むとねじりハチマキのように指の後ろで完全に包み込みます。ここから指の付け根に巻き付けていくのですが、写真を連続させてご確認ください。

指の付け根あたりに一周布を巻き付けてネクタイのように通して引っ張ります。そこから逆回転に指の後ろ側に余った布を引っ張ると完成です。

見てください。完全に指に布がホールドされてまるで皮膚と一体になったようなフィット感です。この状態になると繊細な手のタッチが可能になります。また磨き中にズレてきて磨きにくくなるということもないでしょう。

写真だと分かりにくいよという方はYOUTUBEでも動画で解説しておりますのでぜひそちらもご参照ください。

ここができていないとこの後の水をつけて鏡面磨きを長時間行うのにとても苦労します。基本中の基本である布を巻くということを最高の品質にすればその後の磨きも最高品質になってきます。

ぜひ今すぐできることなのでぜひ皆さん習得してくださいね。

といわけで今回はここまで!次回は“水をつけながら膜を作る”というかなりブログ向きではない文章で伝えるのが困難な工程を伝授いたします。ぜひ暑い夏はロウも溶けやすいので夏に負けない鏡面磨きを習得しましょう。今回もありがとうございました。押忍!

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