「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」其の捌

 

シリーズでお届けする「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」。第8回目は、靴磨きをする上での「第5工程目」について。長谷川裕也が熱く語ります。

靴磨きをとことん詳しく伝授する熱烈靴磨き道場、今回は全16工程のうちの5工程目にあたる“コバインキの塗布”です。毎月恒例のこちらの記事ですが進みが悪くて皆さんうずうずしていることでしょう。8ヶ月も経っているのにまだコバインキの工程かと。早く知りたい方は私の“続・靴磨きの本”をぜひ先読みしてください。それでは今回も参りましょう!

前回はコバを紙やすりで表面のざらつきをとる程度に整えました。その状態では色が抜けた状態なので美しく仕上がりません。そこで今回使うのは“コバインキ”です。コロンブス社が出している商品ですがとても着色力が強く、また樹脂も入っているので光沢が出てきれいに仕上がります。

ただし塗り過ぎは厳禁。テカリ過ぎてしまいますので薄く塗っていきます。またこの道具ならではのコツが必要です。と言いますのもこのコバインキ、刷毛が蓋についているタイプなのでたっぷりとインクが染み込んだ状態です。そのままだと多すぎるのでまずは口の部分でインクをよく絞ります。

クックっと押すとジワーっとインクが押し出されて絞れます。

そうしてからでないと刷毛にジューシーに染み込み過ぎて液だれや塗り過ぎの原因になります。まずは皆さんこれを必ずしてくださいね!

そして絞った状態の刷毛でコバにインクを塗っていくのですが刷毛がアッパーに付くとシミになってしまうので要注意しながら塗っていきましょう。

刷毛の角がコバからはみ出さないようにゆっくり塗っていきます。

スーっと一筆書きのように塗れたらプロフェッショナルですが内側、外側、ヒールと何回かに分けて塗ってもらって良いので丁寧に塗りましょう。

ヒール部分は染み込みにくい部分なので下の方をメインで塗布して下さい。

細かい話ですが、ヒールの積み上げ部分は普段そんなに擦れない部分なのでコバインキが染み込みにくく、この部分にコバインキを塗り過ぎるとベトベトになってしまうので“ヒールはあっさり塗る”というのを心がけてください。

 

全体に塗った後に靴をひっくり返してソール側から綺麗に縁取り出来ているか確認しましょう。ソールから見て少し縁取ったようにコバインキを塗れるととても綺麗な仕上がりになります。

「ソールなんて誰も見てないよ」なんて意見も聞こえてきそうですがこういった細部へのこだわりが最終的な高レベルの靴磨きの仕上がりに繋がるのです。

“神は細部に宿る”とはよく言ったものでぜひこのコバインキを塗るという事を皆さん極めてみましょう。

さて、次回は6工程目にあたる“汚れ落とし”です。この汚れ落としは靴磨きの仕上がりを決める超重要な工程であり序盤で一番の工程です。ここをしっかりやれるかどうかで全てが決まると言っても過言ではありません。ぜひ靴磨きの奥深き世界、引き続きお楽しみください。

それでは皆様、出会いと別れの春を美しい足元で過ごしてください!押忍!押忍!押忍!

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