靴磨き選手権大会2023

みなさまは”靴磨き選手権大会”という靴磨き職人の頂点を決める大会があるのはご存知でしょうか?20分間で同じ靴を誰が一番美しく磨くことができるのか?というとてもシンプルな大会なのですが、静かで熱い人間ドラマ溢れる素晴らしい大会なのです。

はじまりは2018年。

前年にロンドンで靴磨きの世界選手権大会が初開催され僭越ながら私(長谷川)が優勝することができ、この流れを日本にもと考え、帰国してすぐに成田空港から「日本でも靴磨き大会やりましょう!」と最初に連絡をしたのが本大会のプロデューサーを務める田代径太さんでした。

三越伊勢丹の社員で紳士靴のアシスタントバイヤーを勤めた経験も持つ同氏と共に日本での大会開催に向けて共に準備を始めていきました。

ロンドンで行われた大会をベースにルールは作成しましたが、ロンドン大会のルールですと日本人の高いレベルでは仕上がりの差がつきにくいということで日本大会のルールはより難易度が上げています。具体的にはロンドンでは片足を20分かけて磨くのですが日本では両足20分にしています。単純に2倍の作業量になるわけです。逆に予選では片足10分にしているため時間は半分になります。

それに加えロンドン大会では使える道具はSaphir社のもので商品も決まっているのですが、日本大会では指定された沢山の道具の中で選手が靴を見てから使う道具を決めることができるよう、道具の選択を自由にしています。そうすることで靴磨きの多様性や仕上がりの幅広さが出ると考えたからです。

そういった試行錯誤があり初開催された靴磨き選手権大会2018は会場を銀座三越の紳士靴売り場の一角をお借りして行われました。当初そんなに集まらないだろうと考えていたので30名も入れば満員の会場で行われたのですが蓋を開けてみれば150名ほどのお客様がいらして、紳士靴フロアは大混乱状態へ。社員総出で滞留するお客様を流すのに必死でした。

そんな伝説の初開催から2019年、2020年と3回開催されてからコロナ禍へ。そして満を持して3年の時を経て今年”靴磨き選手権大会2023”として復活をいたしました。今まで主催してくださっていた”(株)三越伊勢丹”より”日本皮革製品メンテナンス協会”に主催団体を移し、多くの協賛企業のご協力のもと大きく生まれ変わりより社会性が高く裾野が広がる大会へと進化しました。

靴磨き選手権大会2023オフィシャルサイト

プロアマ入り混じった全64名が鎬を削る世界最高峰の靴磨き大会。今年9月には大阪1st Roundが梅田阪急本店内の梅田ホールにて開催。10月には東京1st Roundが阪急メンズ東京前のコンコースにて開催され、西と東で選ばれし12名によるFinal Roundは11月18日(土)に銀座三越9階で開催されます。

今回ファイナルに進んだ選手は以下の選手です。

【大阪大会ファイナル進出者】
小川恭生(個人)
吉冨純弘(Bodston & Re Olds)
柏正信(ペニーレインシューシャインボーイズ)
山岸賢治(個人)
西岡ぺこ(MIGAKI THE HERITAGE 磨き座 継)
安部春輝(NINETY TWO/Burie)

【東京大会ファイナル進出者】
大平雄太(Chett)
新庄海地(FANS SHINBASHI)
熊田圭一郎(熊田靴店)
木嶋友和(KUTSUBIGAKU)
折茂佳名人(Dratewka)
新井田隆(Brift H AOYAMA)

12名で始まる準決勝。4名3グループに分かれて一位通過者3名によって決勝が行われます。3年間の空いた期間で全国に多くの新しい靴磨き職人が誕生しました。ファイナルに進んだ選手を見てもここ数年で靴磨き職人になった人が多く、前回大会とは大きく顔ぶれが変わりました。

これは世の中の靴磨きのレベルが上がっていることや靴磨き道具の進化による靴磨き方法の変化などによる影響が大きいと考えられます。また今回の大会は審査においても過去3回行われた大会での経験を踏まえてアップデートを行いました。

テクニカル審査員は技術の審査を行い、プレゼンテーション審査員は靴磨き職人としての魅力を審査します。それぞれに審査員チームを構成して公平な審査を行なっています。

【テクニカル審査員】
石見豪(第一回靴磨き選手権チャンピオン)
斗谷諒(靴磨き選手権2019カラーリング部門チャンピオン)
藤澤宣彰(フローリウォネ主宰)
長谷川裕也(靴磨き選手権大会発起人)

【プレゼンテーション審査員】
1st Round
鈴木理也(クリエイティブディレクター、元レッドウィング日本代表)
尾崎雄飛(SUN \KAKKEデザイナー)

Final Round
松尾健太郎(THE RAKE JAPAN編集長)
鴨志田康人(ファッションディレクター)

11月18日当日13時に開会式が行われ18時30分に表彰式も含め終了いたします。どなたでも観れる会場になっておりますのでぜひ銀座にお越しの際はお気軽にお立ち寄りいただけたらと思います。

靴磨きを観た事がない方にはイメージが湧きにくいかもしれませんが「靴磨きってすごい!」「靴磨きって面白い!」と必ず感じるような静かなのにとてもエキサイティングな大会になっております。

靴磨きを通して職人の技の素晴らしさを通じた人間ドラマをぜひご体感ください!

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